2019/2/28

企業不祥事と会計・監査の制度設計 (杉本 徳栄)

法曹界、とくに弁護士のドラマがテレビ番組で多く編成されているのは、時代を映し出しているのかもしれません。また、一話で事案が解決し、「水戸黄門」よろしく、終盤の爽快感が受けているとも言われます。企業小説でも経営者の奮闘ぶりが描かれ、読み手になにがしかの明るさや希望を与えてくれます。
その一方で、公認会計士や監査役などが、そうした爽快感をもって、またなにがしかの明るさを与えるように描かれないのはなぜでしょうか。会計・監査は常にお金がつきまとい、「お金は汚いもの」という幼少期の金銭教育の影響があるのかもしれません。
粉飾決算、有価証券報告書の虚偽記載などの企業による開示不正や会計不正が露呈するたびに、会計・監査に対する心象がにわかに悪くなります。経済の重要なインフラの1つであるはずの会計基準などを理解するためには、実は、こうした不正の本質とそれによる会計・制度設計について考えることが大切です。この講座は、会計・監査制度の制度設計が経済インフラとしての役割をいかに果たしているかを、企業不祥事との関係から読み解き、解説します。

【講師】

杉本 徳栄

博士(経済学)東北大学

神戸商科大学大学院経営学研究科博士後期課程単位取得退学。延世大学校大学院留学、デューク大学FuquaビジネススクールResearch Scholar。日本会計史学会学会賞、国際会計研究学会学会賞、会計大学院協会教育貢献者賞などを受賞。国際会計研究学会会長、韓国会計学会『会計ジャーナル』編集委員、文部科学省中央教育審議会専門委員、公認会計士試験試験委員、税理士試験試験委員、会計教育研修機構理事、会計大学院協会理事長・相談役などを歴任。現在、国際会計研究学会理事、日本会計教育学会理事・学会誌編集委員長、会計教育研修機構運営委員会委員などを務める。

主な著書・論文等:『開城簿記法の論理』(森山書店、1998年)、アメリカSECの会計政策』(中央経済社、2009年)、『会計の変革』(同文舘出版、2014年:共訳)、『国際会計の実像』(同文舘出版、2017年)、『ペンマン 価値のための会計』(白桃書房、2021年:共訳)ほか

主な担当科目:国際会計論、国際会計基準論A・B、財務会計論文指導

【受講をお勧めしたい方 】

・近年の会計基準等の成り立ちや会計・監査の制度設計の背景などの知識を深めたいと考えている方

【カリキュラム】

第1回 2020年1月12日(日) 12:15~14:45
企業不祥事と会計・監査(1)―エンロン・ワールドコム事件、金融危機(リーマンショック)―

第2回 2020年1月12日(日) 15:00~17:30
企業不祥事と会計・監査(2)―山陽特殊製鋼事件、足利銀行事件―

第3回 2020年1月19日(日) 12:15~14:45
企業不祥事と会計・監査(3)―西武鉄道株式保有割合虚偽記載事件、カネボウ巨額粉飾決算―

第4回 2020年1月19日(日) 15:00~17:30
企業不祥事と会計・監査(4)―新日本監査法人インサイダー取引、オリンパス損失飛ばし・解消事件、東芝事件―

注:取り上げる企業不祥事の組み替えや、一部変更を行なう場合があります。

※本講座のお申込受付は終了しました※