2021/2/19

加藤教授おすすめの本『独学大全』

加藤雄士教授 アカウンティングスクール(AS)

こんにちは。
関西学院大学アカウンティングスクール教員の加藤です。
私のおすすめの本について、1冊じっくりとご紹介したいと思います。

昨秋の経営学の講義中に、その朝に日経新聞で紹介された『独学大全』という本を紹介しました。

講義の中で、その記事についてコメントし、「早速、注文しなくちゃね!」と発言したところ、講義後に早速、注文してくれた学生がいらっしゃいました。

こうしたときの行動力の速さも行動力や学び力の実力の1つだと私は思います(その学生さん、素晴らしい!)が、この本、かなり厚いのです。

750ページを超えています。
厚みは何センチでしょうか?
でも、わずか税抜きで2,800円なのです(笑)。

安いのか高いのか、お値打ちなのか、分からなくなったかもしれませんが、自宅に届いてから「しまった!」と一瞬思いました。
物質として大きいので本棚に入れにくいのです。

なにせ750ページを超える本です。

はい、クイズです。
「厚さは何センチでしょうか?」

今、測ってみます。
5センチくらいですね?

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それから1か月くらい書庫にほってありました。
12月に入り、大掃除をしている折、この本があることに気づきました。
で、手にとると、
「おもしろい、おもしろい!」

第1の技法として、「立志」ということで、孔子から佐藤一斎、橋本佐内が出てきます。

パラパラしていると、アカウンティングスクールの学生にはおなじみの川喜田二郎先生が写真つきで出てきます。

大掃除の手をとめて、読み漁りました!

そして、この本を独りで楽しむのはもったいないと思い、学生の何人かに声をかけて読書会をすることにしました。

その日は1月1日、元旦です。
元旦の8時半からZOOMで学習会をしました!
ビジネススクールの2年生の学生は、技法28の目次マトリクスの章が論文作成の参考になると話してくれました。

たしかに文献の目次や概要のマトリクスや引用マトリクスなど、この本に紹介されている
手法は課題研究に役立ちそうです。
アカウンティングスクールの学生は、最後についている「独学こまりごと索引」に興味をもったと話してくれました。

たしかにこの本は、誰が読んでも参考になることが一杯出てくる印象の本です。

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私はこの本の著者の博学、それに執念深い学びの姿勢に感銘を受けました。

そして、正月3が日のうちに、この本でも紹介されている「自作の索引」(ちなみに519ページにあります)を作成して、本棚にしまうことにしました。

さらに、この話には続きがあります。

「知識がスタンドアローンでは存立し得ず、必ずや他の知識と支え合う形でしたかあり得ないように、人の学びもまた他の学びとつながり支え合う。」

この本の65ページにある文章です。

昨秋の私の講義を受けてくれた方はこの文章の意味がよりご理解いただけるでしょうし、また、元旦の読書会はまさにこの文章を体現したかのような時間になりました。

「独学者は、自分の地図を必要とするが、不断にその地図を描き直しながら進むことになる。」

この文章は86ページに書かれています。

地図やら航海日誌やら旅好きな私の心に刺さるメタファーを使ってくれているのもこの本を好きな理由です。

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さて、少し前の話に戻りますが、昨年の春、コロナ禍に入りかけた頃、IBAの修了生や元ゼミ生の人たちにメッセージを送りました。

「これからステイホームになるから、どんな本を読もうとか、どんなことを研究しようとか、
どんな工夫(例えば近所の散歩など)をしようかとか、どのお酒を飲もうかとか考えておこうね。

そして、少しでもいいので学びの友に連絡とってみない!?
これからそれぞれの人生が大きく転換していく可能性があるけど、
何かあったときに少しでも声をかけあったり、支え合ったりできるコミュニティのようなものを創っておけるといいね。」
とメールに書きました。

すぐに行動してくれる方はいるもので、ある修了生は、同じクラスで学んだ人たちのLINEのグループに発信してくれました。
昨春はコロナがこれからどうなっていくのか分からない時期で、すぐに反応があったようです。
そんなつながりから、今年の1月中旬には、数年前のコーチング論のクラスのメンバーが
ZOOMで集まり、新年会をするというので、私も誘ってもらいました。
ビジネススクールの方とアカウンティングスクールの方、両方の修了生が参加してくれました。

「講義を受けていた時からは今は仕事の内容が変わりまして・・・」
とか、
「コロナ禍で私の会社もかなり影響を受けています。」
とか、
「いまだに大学と関わり続けて学んでいます」
とか、
「うちの会社では今年、大きな投資をします!」
などなど近況報告をお聞きできました。

コロナ禍になり、オンラインという手段がメジャーになり、全国、いや全世界の人と
LIVEでコミュニ―ションをとれるようになりました。

今こそ、学びの友に連絡して、つながりを作ってみるのもいいですよ!?

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実は、昨秋、ゼミのOBともゼミ会を久しぶりにやりましたし、組織学習のインフォーマル学習会もやりました。
その時、私は東京出張中で、品川のホテルから全国各地の方とつながり、とても良い時間を過ごせました。
先ほど紹介したコーチング論の新年会では、
「先生が紹介してくれた『読書大全』でーす。」と見せてくれる方もいました。
あるいは、元ゼミ生が、
「先生が紹介してくれた『読書大全』を今、読んでいます。」と連絡をくれます。

そうした反応に、
「ちがうんですよ!」
と、私は思いました。

あの本は、読む本ではないのですよ。

1週間で読破して、どことどこを使うなどと、「自作の索引」を作って早く本棚にしまってしまわないといけない本だと思うのです。
いつまでも読んでいる本にしていてはだめ、というのが私の持論です。

「使う!」というコンセプトの本だと思います。

「今、この本を活用して、何をしているか!?」
が問われているのだと思います。

                          (了)