2017/10/19

関学IBAで学ぶ管理会計

マネジメントへの役立ちを使命とする管理会計は、会計学の主要領域の1つに数えられつつも、会計学のルールに縛られることなく経営学さらには社会科学のボーダーさえも越える広範なドメインを形成している経営管理技術の集合体である。

その目的適合性を重視する状況依存的な特性故にマネジメント理論やファイナンス理論をはじめとする多様な領域の知見を取り込んできた実学としての管理会計の領域は、合理性を前提とするマネジネント・システムの見地からは、価値創出をめざす企業等の経営管理活動を支援する未来視点の内部手段として捉えることができる。

そこで本学では、管理会計分野を、伝統的な原価計算をベースに業務が行われる現場で発生する原価を検討の対象にするコスト・マネジメントの方法論のグループと、目標利益の決定や実現等を課題とする意思決定および業績管理に有用な情報を提供する経営管理ツールのグループに二分し、それぞれを体系立てて学習すると共に両グループの相互関係も検討することによって効率的な学習を図るとともに、高度な会計プロフェッションに不可欠である総合的な理解を深める教育体系を敷いている。

さらに、昨今の急激な経営環境の変化を睨んで、経営管理者が革新的なアイデアやイノベーションを主導していくうえで不可欠な要素となる個人・組織の知的能力すなわち“創造性”の涵養を目標に、個々人の創造的な問題解決力や、情報発信力を涵養する科目も配当することによって、「優秀な経営人材の育成」及び「実践的な経営管理知識・技能の向上」という、マネジメント教育の両面を網羅する充実した体制と豊富な科目群を提供している。

徳崎 進

公共経営学修士(MPA)ハーバード大学 博士(経営学)甲南大学
米国公認管理会計士(CMA)・米国公認財務管理士(CFM)

2005年より現職。専門は管理会計学。日本管理会計学会関西・中部部会会長。大手私鉄グループ、米欧の巨大金融機関、世界ビッグ4会計事務所国際組織の管理職等を経て教育・研究に専念。四半世紀にわたる「VBM(価値創造経営)」探究を具現した研究で専門分野の著名2学会より日本管理会計学会2012年度学会賞(文献賞)ならびに日本原価計算研究学会平成24年度学会賞を受賞。英語による会計学・経営学教育の発展にも注力し、学内外で多くの英語授業を担当。英国国立ウェールズ大学講師(2004年~2005年)、東北大学客員教授(2017年~2019年)、台湾国立中正大学兼任教授(2020年~2022年)などを務めた。日本管理会計学会関西・中部部会評議員(2007年~現在)、アジア太平洋管理会計学会(APMAA)運営委員(2012年~2014年)、IMA(米国管理会計士協会)西日本支部副代表(2018年~2020年)、日本管理会計学会関西・中部部会副会長(2020年~2023年)等を歴任。関西学院中学部・高等部・大学(商学部)卒。主な著書・論文に、『ファイナンシャル・マネジメント・ハンドブック』(東洋経済新報社、2002年)、『VBMにおける業績評価の財務業績効果に関する研究』(関西学院大学出版会、2012年)、『ビジネスパーソンの創造性マネジメント』(中央経済社、2024年)などがある。

主な担当科目:管理会計論、意思決定会計論、企業ファイナンス、創造性マネジメント