2017/10/19

人類の幸福に貢献する公認会計士

なぜ、監査に失敗しても、公認会計士の仕事が増えるのか

財務諸表(決算書)の監査を担う公認会計士の歴史は、監査の失敗(粉飾決算の見逃し)と監査の強化・監査範囲の拡大(つまり仕事の増加)の繰返しである。なぜ、監査に失敗しても、監査を止めろと言われずに、逆に仕事が増えるのか。それは、公認会計士が経済社会で極めて重要な役割を負っており、人類の幸福に貢献しているからである。(もちろん、監査の失敗を起こしているのは一部であり、公認会計士全体としては社会的信頼を得ていることが理由であるのは言うまでもないが。)

公認会計士が人類の幸福に貢献する理由

なぜ、公認会計士が人類の幸福に貢献しているのか。簡単に説明すると、以下のとおりである。

企業会計の役割の重要な一つは、企業が資金調達を行うため、投資者に対して情報を提供することである。上場企業は、財務諸表その他の情報により企業の内容を開示することによって、証券市場で資金を調達し、その資金を工場建設や企業買収等に投資する。その結果、企業は成長するし、経済も成長する。また、証券市場で、財務諸表その他の情報を判断資料として、投資者がいわゆる良い会社(簡単に言うと、収益性のいい会社)に資金を提供することにより、資金の効率的な配分(簡単に言うと、社会のニーズに応えている企業にカネが回り、役立たない企業にはカネが回らない)が行われる。このように、会計は社会を豊かにする道具である。しかし、ただ単に、企業の経営者が財務諸表を示して、当社におカネを出してくださいと言っても、投資者は資金提供しないだろう。なぜなら、その財務諸表が信用できるかどうか疑問を抱くからである。

そこで、公認会計士の登場である。公認会計士は独立の立場から、財務諸表の適正性をチェックし、監査報告をする。監査の結果、投資者は安心して資金提供できる。そして、企業はスムーズに資金調達でき、経済が発展して、富が増える。経済的に豊かになることが、即、幸福とは言えないが、豊かさが幸福のそれなりの部分を占めるとすれば、公認会計士は財務諸表の監査を通じて、人類の幸福に貢献しているわけである。(財務諸表の監査は、公認会計士の独占業務である。)

公認会計士の使命

公認会計士法第1条は、公認会計士の使命として次のように規定している。「公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする。」公共の利益に奉仕するという、素晴らしい使命ではないか。

関西学院大学アカウンティングスクールでは、経済社会のインフラである会計・監査で社会に貢献できる会計プロフェッショナル(公認会計士、企業の会計プロなど)の育成を目指している。

西尾 宇一郎

公認会計士 税理士

同志社大学経済学部卒業。職業会計人として、個人企業から上場会社までの会計、監査、税務の実務に携わる。監査法人誠和会計事務所代表社員、監査法人トーマツ代表社員を経て、現在、公認会計士・税理士西尾宇一郎事務所。日本公認会計士協会において、本部理事、綱紀委員会委員、学術賞審査委員会委員、修了考査運営委員会出題委員等を務めた。2017年より公認会計士試験試験委員。会計実務、税務実務等に関する著書、解説等多数。

主な担当科目:会計倫理、法人税法、租税法事例研究