2021/6/17

医療キュレーター実践会 第35回 開催のご報告

医療キュレーター実践会では、医療、介護、健康、まちづくりの分野における新たな取り組みについて学ぶセミナー、自分で実行していける力をつけるためのワークショップ、メンバー同士でテーマを持ち寄り課題解決を実践していく、という取り組みを行っています。

今回は型破りな歯科医、長縄拓哉先生をお迎えしました。どのように型破りかと言いますと、展示会を何度も開催する画家でもあり、日本とデンマークを繋いでのヘルステックプロジェクトの代表を務めておられるなど多彩(多才)です。また研究者としてデンマークに留学し、痛みとアートの関係について研究された経験もお持ちです。
代表の奥田が4ヶ月間デンマークに留学したご縁で、当研究会のメンバーからつないでいただきこの場を設けることができました。

まずはテーマにもある「口腔顔面痛」の説明をお聞きしました。痛みは症状であり病気ではないので、治療とはまた違うアプローチが有効であること。これまでは症状と病気が混同されていたせいで、治療しようとしてどんどん歯を削るが痛みは軽減しないという問題がありました。痛みを取り除くことをゴールにすれば、歯を削る以外の選択肢が出てくるのです。その方法の一つがアートでした。デンマークでは、痛みを軽減するためにアートを用いる研究をされていたそうです。

次にアートや現代美術の“そもそも”について考えました。バンクシーの例から現代美術は問題提起が得意ということを理解しました。問題を提起するだけではなく、アートで問題を解決しようとするのが長縄先生のチャレンジ! “うんこれ”やポケモンGoが、健康に対する無関心層にアプローチにしたことから、知らず知らずのうちに健康な行動をさせた例について学びました。ゲーミフィケーションや行動経済学とも関わる分野だと思いました。

メタボリックドミノ:
生活習慣がメタボリック症候群を引き起こすことを見える化したドミノ

長縄先生の大胆な実践例をお聞きしました。それはご自身のアート展で絵画を展示する横に、全く関係ない学術論文を置いてみたそうです。そうすると、絵画の説明かと思って読んだり手に取る人がいるとか。アートに関心はあるが学術論文に興味がない人が“誤って”論文を手にすることで、その内容に偶然興味を持つかもしれない。アートが課題解決をつなげるための社会実験のような取り組みです。

絵画の隣に、全く関係ない論文を置いてみた!

参加した方からは下記の感想をいただきました。
・歯科医師と芸術、健康無関心層へのアプローチ、幅広い才能と好奇心を持たれている医師がイノベーションを起こそうとされている点に感心しました。
・アートについて理解が深まったから いかに実践するかについて示唆を得られた
・現代アートってなんなのか、少しわかったように思えます。

医療キュレーター実践会では、今後も医療=治療 の枠を超えていく方法を皆さんで模索したいと思います。

今回はzoomで実施しただけではなく、長縄先生のご提案により初の試みとしてFacebookにてリアルタイム配信も行いました。動画は後で見返すこともできるのでいくらでも復習できます。実はリアルタイムよりオンデマンドで視聴してくださる方の方が多かったです!!新しいスタイルの実践ができたこと嬉しく思います。
ご参加下さった皆さん、ありがとうございました!

長縄先生の展覧会
2021年5月25日(火)から6月23日(水)
蔦屋家電+ 「アートが痛みを減らすっ展!?」
また新たな社会実験が行われています。東京近辺の方はぜひご覧ください!
https://store.tsite.jp/tsutayaelectricsplus-futako/event/magazine/20154-1435030518.html

長縄先生の多彩な活動がわかりやすくまとめられています。
https://cococolor.jp/takuyanaganawa
Instagram https://www.instagram.com/naganawatakuya/