2017/11/1

各分野で活躍する修了生たちが、IBAを語る
Part1

企業経営戦略コース座談会 Part1

2017年10月18日 関西学院大学 東京丸の内キャンパス

近藤 由佳さん(2006年9月修了) ミズノテクニクス株式会社 勤務
山崎 由晶さん(2009年3月修了) 大正製薬株式会社 勤務
渡辺 周平さん(2014年3月修了) 大阪ガス株式会社 勤務
河邉 浩平さん(2016年3月修了) 日鉄住金物産株式会社 勤務

企業経営戦略コース修了生の皆さん 左から 渡辺さん、河邉さん、近藤さん、山崎さん

企業経営戦略コースでのご経験をご自身のキャリアに活かされている修了生4名にお集まり頂き、IBAの魅力を存分に語って頂きました。

 −みなさんの現在のお仕事とIBAに入学したきっかけについて教えてください

近藤 ミズノテクニクスという会社で昨年発足した新規事業・商品開発部門で、商品企画・マーケティング担当をしています。ミズノが100年以上かけて培った「モノづくり」の技術をフルに使って、新しい事業や商品の開発を推進中です。私はIBAの一期生なんですが、当時広報宣伝部から開発部門のマーケティングチームに異動となったのが入学のきっかけです。

河邉 私は日鉄住金物産株式会社の繊維部門で、同じく新規事業開発を担当しています。この会社で洋服を作ってきて20年。価格競争の波など、今のままの業界に限界を感じはじめ、これからの業務には学術的なアプローチや業界を超えた知見が必要だと考え、IBAへの入学を決めました。

渡辺 大阪ガスの東京支社で、経済産業省をはじめとする中央省庁との調整業務や、エネルギー業界動向の情報収集・レポーティングなどを担当しています。入学動機は、エネルギー業界における規制緩和の進展に伴い、競争環境が大きく変わろうとする中、従来からのアプローチを抜本的に見直す必要性を感じており、業務上では得難い経営全般の知識や幅広い視点などにヒントを求めたいと思いました。

山崎 私は大正製薬でブランドマネージャーを経験後、現在はセルフメディケーション事業企画部という部署に所属しています。営業・マーケティング・研究開発といった各部門をつないで、事業部全体に関わる案件に取り組んでいます。IBAに入学したのは入社7年目でした。当時はドラッグストアの成長や、消費者が薬を自分で選ぶスタイルへと変化するなど、事業を取り巻く環境が大きく変わろうとしていた頃。「医薬品もマーケティングの知識を強化しなければ勝ち残れない」と強く思ったのが入学のきっかけでしたね。

 

「視点の数だけ、発見があった」

 

−関学IBAでの学びが今の仕事に活きていると感じることは何ですか?

河邉 新規事業の一環として日本や海外の大学との産学連携を行っているんですが、IBAで学んだことが非常に役立っています。当時、夏休みの集中授業で理工学部の学生と共同研究をしたんですよ。ケイソウという藻の研究をしている理工学部の部隊との研究で、下水道からリンを回収するという内容。その時の経験が今とても活きていますね。どんな風にネゴシエーションするのか、先生や学生がどんなことを考えているのかなど、普段の営業活動では決して見えなかったことが分かったのは、今とても大きいかもしれない。

近藤 様々な視点から物事を見る訓練を積んだことは大きいですね。しかもIBAは卒業してからも研究会や他校との交流など多くの刺激を得られるチャンスがあり、視点のバージョンアップを継続していける。これは仕事の幅や課題解決に欠かせない力になっていると思いますね。

−立場が違う人からの視点が刺激や発見になるという点は、グループワークにも同じことが言えそうですね。

近藤 同級生に私の父と同い年の人がいたり、社長さんがいたり。そういう人たちがグループワークの議論なんかで、「そうは言うけど、実際はこうなんだよ」と実務経験からの意見を言ってくれる。職場や利害関係のある人たちでは時には難しい「本音の議論」ができるのも魅力ですね。

渡辺 そうですね、相当刺激を受けましたね。同じ課題ひとつに対してでも、視点が違えばこれほど違う考えが出てくるのかと驚きました。裏を返せば、個人の意見に固執することの愚かさも実感できました。

河邉 自分の業界での常識が、他所では常識じゃないことに気付けた。それを踏まえたうえで今、新規事業に関われることは非常にありがたいですね。

渡辺 MBAの学びを深めるためのワークって3つあると思うんです。まず事前課題にあたる個人ワーク、クラスでの講義、それからクラスメートとのグループワーク。IBAはこの3つのバランスがとても良かった。まさに理論と実践を行き来し、血となり肉となる時間だったなと思います。

 

「身につけたのは、知識の“引き出し方”」

 

−課題研究で苦労したことや、やってよかったことについて教えてください

山崎 私の場合、課題研究を含めてどのレポートもとにかく実務と結びつけて取り組んでいました。普段の業務で感じていること、たとえば「どうやって価格を決めたらいいんだろう」とか。そういう実務からの疑問を今度は理論に当てはめながら、自分なりの解を作れたところが大きかったです。

河邉 私は営業一筋だったんで、課題研究で初めて自分の業界がどういうポジショニングなのかというマクロの部分を考える機会になりました。ちなみにテーマは介護衣料の販売戦略だったんですが、同業のお客さんへヒアリングに行ったりして業界のことを調べましたね。周りの仲間からいろんな意見をもらったことも刺激になりました。

渡辺 普段の業務に忙殺されると、つい従来の延長線上で物事を考えてしまう。そこをもう一度ゼロベースで、業界における自社のポジショニングや伸ばすべき強みなどを考えられたことはとても大切な点でしたね。その考えるための材料は過去の論文や関連書籍、教授やクラスメートからのアドバイスでした。IBAに在籍した2年間で、これまでの人生で読んだ数以上の本を読んだのではないかと思います。時間との勝負の中で、要点だけを拾い読みしたり、速読したりする能力も、いつの間にか身についていました。

−物事を俯瞰して見る力や、知り方・調べ方の方法論が身についたということですね。ではIBAを修了して、仕事や人生にどのような変化がありましたか?

渡辺 修了と同時に、営業企画から経営企画に近い東京支社へ異動になりました。エネルギー業界の動向をより川上でキャッチして、本社の経営層へ届ける重要な仕事ですが、今の部署には上からの目標が課せられないんです。今何が求められているのかを自分で考えて、その時々に自分の最大限のリソースを使って結果を出さなければならない。そういう意味で、目標がない部署へ送り出されたこと自体がひとつのステップアップと言えるんじゃないかと思っています。

山崎 それまでは営業企画をやっていましたが、MBA取得を機に東京本社のブランドマネージャー部に異動。風邪薬のパブロンやのど飴のヴイックスを担当しました。やはりひとつのターニングポイントになったと思います。

近藤 開発部→ゴルフウェア企画→人事→スイム企画→ゴルフ事業企画→現部署と、社内でも珍しいくらい色々な部署に異動してきました。その多くは「新しいことをする」というタイミングだったのですが、大変だとは思っても怖いとは思わなかった。どの仕事でも必ずヒントがあり、それを見つけ出す方法がある。これをIBAでの学びと経験が支えてくれていると思います。

 

「世の中に足跡を残したい、という想い」

 

−今後のキャリアプランや、チャレンジしたいことがあれば教えてください

山崎 ブランドマネージャーをやってみて感じたんですが、自分の仕事が商品になり、世の中での評価が数字として見えるというのは大きなやりがい。自分の足跡を残すというか、「これ、あいつがやった仕事なんだよ」って言われるような存在になれれば、自然と周りも評価してくれると思います。

河邉 大きなことを言うと、繊維業界に本気で革命を起こしたいと思っています。素材であったりモノづくりであったり、世界で戦えるものを造りたいと思って動いてる。それが5年後、10年後世の中に出て、「ああ、あいつが作ったんだ」って言われるようになりたいですね。IBAで周りの人たちからたくさんの刺激を受けたからこそ、こういう想いを培うことができました。

近藤 ミズノは100年以上スポーツ用品を作ってきた会社。その商品づくりを支えてきた素晴らしい技術と資産があります。まさひ「ニッポンのモノづくり」です。ただ、中にはそのすごさに気づいていない、活かしきれていないお宝もけっこうあるんです。これを何とかして世に出していきたいと思っています。

−ありがとうございました。それでは最後に、これからIBAに入学する方へのメッセージをお願いします

渡辺 変化の「きっかけ」になるのが関学IBAだと思います。その変化を支えてくれるのが先生であり、共に学ぶ仲間であり、カリキュラムです。授業の内外関わらず、本気でぶつかってくださる先生方。仕事の悩みにも気軽に相談に応じてくれたり、様々な視点からアドバイスしてくれたりと、心強い存在です。仲間とは学生に戻ったような気持ちで一緒に知恵を振り絞り、新しいものを生み出していくという刺激的な体験ができます。そして、それを支える場を提供してくれるのが、幅広い分野のカリキュラム。きっと皆さんが必要とする科目があるはずです。だから、安心して飛び込んでください。そういう懐の広さこそが、IBAの魅力ですから。